ベルリンの表玄関、ブランデンブルク門(ドイツ/ベルリン)

 、というモチーフがユーロ紙幣や硬貨に多用されるのは、平和や繁栄、凱旋のシンボルだからかもしれない。ユーロ硬貨に採用されているこの門もその一つ。かつては、ポツダムとベルリン都心を結ぶ表玄関に位置して、プロイセン王家の出入口にあたったそうだ。さしづめ、日本的にいうと、ベルリンの大手門と言えるかもしれない
 初めて、ブランデンブルク門を訪れた日。真っ青な夏空を背にして、白い門が立っていた。空と同じ色の勝利の女神の下、門の先には大通りが続いていて、遠目に戦勝記念塔が見えた。こんなところを行列を引き連れて通っていくのなら、荘厳だったに違いない。
 しばらく、門のたもとを歩いたり、遠目に戦勝記念塔を眺めたりしていると、周囲が騒がしくなってきた。奇妙な全身タイツを着た集団が踊り始めている。何かの撮影らしいけども、目的はとんと分からない。
 ちなみに、真新しい地下鉄ブランデンブルク門駅のホーム階には、この門を象徴する絵や写真が解説付きで飾ってあって、これを眺めていると、ブランデンブルク門はベルリンの表玄関として、たくさんの征服者や勝利者たち―プロイセンの王侯やユンカーたちに限らない―を迎えてきたことに気付いた。完成間もないころには白馬に乗った皇帝ナポレオンが、戦災による半壊の後にはソビエト軍のT-34戦車が。
 修復後は「通り抜けられない門」になった一時期もあるけれども、今のところ最後にこの門を通った勝利者は、1989年冬のドイツ国民と、そして奇妙な恰好で風情を壊す青タイツの集団―かつての権威や壁近くの無人地帯など関係なしに映像作品を作れる自由―なのだと思った。



●とき
 2011年8月30日
●ところ
 ベルリン、ミッテ区(大まかな住所は末尾参照)



●アクセス
 地下鉄55号線、又はSバーンのブランデンブルク門駅から至近。
●もの
 ブランデンブルク門
●こと
 奇妙な青タイツ集団との遭遇

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