風車と酒場(オランダ/アムステルダム)
風車。オランダを象徴するアイコンではあるけれども、それは外国人が日本と聞いて、フジヤマやトリイを思い浮かべるくらい安直な発想かもしれない。
アムステルダムからハーグを経由してブリュッセルへ、そしてライン川まで回って、アルンヘルム(アーネム)からアムステルダムへ。そんな旅の途中でも「チューリップと風車」にはついぞお目にかかれなかった。もしかしたら、「オランダらしい景色」は、ハウステンボスか、霞ケ浦や印旛沼、はたまた砺波あたりのほうが余程、簡単に見つけられるのかもしれない。
そんなオランダ最後の夕方、さすがに風車の一つも見ておくべきか、と思い立って、アムステルダム市街唯一?とも最大とも言われる風車に向かうことにした。その日、アムステルダム中心部では「緊縮財政反対」と銘打ったデモが大通りを占領していて、昼間はトラムもバスも不通状態だったけれども、夕方には平静を取り戻し始めていた。時間の読めないトラムは、時にゆっくり、時には回復運転をするように、不規則なペースで、アムステルダムを東へ進んでいく。運河に沿って進むことしばらくして、大きな交差点でトラムを乗り換え、さらに1駅。運河と運河が交差して少し広めの水面に突き出したところに風車が立っていた。
日本から、と答えると、向こうは破顔して「こっちはブラジル、リオデジャネイロからだ」という。
「地球の反対側同士じゃないか」そんなことを言いながら、4人揃って大笑いで乾杯を求めてくる。
結局3パイント程ビールを重ねながら、お互いの住んでる街の話なり、オランダに来るまで何時間飛行しただ、どこが面白かっただと、これまでの旅行の経過なりを交わした。笑い上戸らしく、何を話しても、何を聞いても大笑いが尽きない。
少し騒ぎすぎているかな、と時折反対の席の老人に目をやる。本から目を離していないようだ。
「リオと、そして東京と、オリンピックゲームで会いましょう」そんな挨拶を交わして風車を後にする。流石の老人も顔を上げて苦笑いしている。
道に出て、反対側に渡ったところで、もう一度風車を振り返る。気づいて、ブラジル人の4人組と、そして老人が大きく手を振ってきた。こちらも大きく振り返した。旅の最後に訪れるには、とてもいい酒場だったと思う。
●とき
2013年9月21日
●ところ
アムステルダム、フネンカーデ(大まかな住所については末尾参照)
●アクセス
トラムでアレキサンデル広場まで、そこから歩ける距離だし、さらにトラム7番線に乗り換えれば、駅から至近。
●もの
デ・ゴーヤの風車(国定史跡)、ブルワリー・アイの醸造所と酒場
アムステルダムからハーグを経由してブリュッセルへ、そしてライン川まで回って、アルンヘルム(アーネム)からアムステルダムへ。そんな旅の途中でも「チューリップと風車」にはついぞお目にかかれなかった。もしかしたら、「オランダらしい景色」は、ハウステンボスか、霞ケ浦や印旛沼、はたまた砺波あたりのほうが余程、簡単に見つけられるのかもしれない。
そんなオランダ最後の夕方、さすがに風車の一つも見ておくべきか、と思い立って、アムステルダム市街唯一?とも最大とも言われる風車に向かうことにした。その日、アムステルダム中心部では「緊縮財政反対」と銘打ったデモが大通りを占領していて、昼間はトラムもバスも不通状態だったけれども、夕方には平静を取り戻し始めていた。時間の読めないトラムは、時にゆっくり、時には回復運転をするように、不規則なペースで、アムステルダムを東へ進んでいく。運河に沿って進むことしばらくして、大きな交差点でトラムを乗り換え、さらに1駅。運河と運河が交差して少し広めの水面に突き出したところに風車が立っていた。
嬉しいことに、風車は醸造所と酒場を兼ねていた。というよりも、引退した風車を再利用した酒場がある、という触れ込みでここまでやってきた。風車のたもとに売り場があって、外には6~8人がけのバーベキューテーブルにようなものが並んでいる。17時。すでに混み始めていて、何とか隅の方に行く。本を読んでいた老人と、大笑いしながら、携帯電話を眺めている男女2人ずつ、4人組の間に座ることが出来た。
「どこから?」隣の席に座っていた4人組のうち、片方の大柄な男が聞いてきた。日本から、と答えると、向こうは破顔して「こっちはブラジル、リオデジャネイロからだ」という。
「地球の反対側同士じゃないか」そんなことを言いながら、4人揃って大笑いで乾杯を求めてくる。
結局3パイント程ビールを重ねながら、お互いの住んでる街の話なり、オランダに来るまで何時間飛行しただ、どこが面白かっただと、これまでの旅行の経過なりを交わした。笑い上戸らしく、何を話しても、何を聞いても大笑いが尽きない。
少し騒ぎすぎているかな、と時折反対の席の老人に目をやる。本から目を離していないようだ。
「リオと、そして東京と、オリンピックゲームで会いましょう」そんな挨拶を交わして風車を後にする。流石の老人も顔を上げて苦笑いしている。
道に出て、反対側に渡ったところで、もう一度風車を振り返る。気づいて、ブラジル人の4人組と、そして老人が大きく手を振ってきた。こちらも大きく振り返した。旅の最後に訪れるには、とてもいい酒場だったと思う。
●とき
2013年9月21日
●ところ
アムステルダム、フネンカーデ(大まかな住所については末尾参照)
●アクセス
トラムでアレキサンデル広場まで、そこから歩ける距離だし、さらにトラム7番線に乗り換えれば、駅から至近。
●もの
デ・ゴーヤの風車(国定史跡)、ブルワリー・アイの醸造所と酒場
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